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プログラム
アダルベルト・ギロヴェッツ Adalbert Gyrowetz (1763–1850)
Six Quatuors concertans, Op. 2 No. 2 — Quatuor en sol majeur
《6つの協奏的四重奏曲》作品2より 第2番 ト長調
アントン・レイハ Anton Reicha (1770–1836)
Grand Quatuor en ut majeur, Op. 52
大四重奏曲 ハ長調 作品52
アントニン・ドヴォルジャーク Antonín Dvořák (1841–1904)
Smyčcový kvartet č. 1 A dur, op. 2, B. 8
弦楽四重奏曲 第1番 イ長調 作品2、B. 8
出演者
演奏:クァルテット・オチェーアノ Quartetto Oceano
ヴァイオリン 廣海史帆、大鹿由希 ヴィオラ 伴野剛 チェロ 懸田貴嗣
みどころ
「ドヴォルジャーク以前のチェコ音楽」と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。
取り上げるのは、いずれもボヘミアに生まれながら、その活動をボヘミアの外へと広げていった三人の作曲家、アントン・レイハ、アダルベルト・ギロヴェッツ、そして若きアントニーン・ドヴォルジャーク。共通するのは、彼らが「チェコの作曲家」としてではなく、18世紀末から19世紀にかけてのヨーロッパ音楽の中心で活動した音楽家だったことです。
1770年生まれのレイハは、ボン、ウィーンを経てパリへ。ベートーヴェンと親交を結び、後にはパリ音楽院で教鞭を執り、ベルリオーズやリストら次世代の音楽家にも影響を与えました。そのレイハが書いた《Grand Quatuor》作品52には、古典派の均衡を保ちながら、四つの声部をかなり自由に扱おうとする姿勢が聴き取れます。
一方、ギロヴェッツはチェスケー・ブジェヨヴィツェに生まれ、ウィーンへ進出し、さらにヨーロッパ各地で活動した作曲家です。《Six Quatuors concertans》というタイトルそのものが興味深い。ここでいう concertans は、四つの楽器が単に「伴奏」と「旋律」に分かれるのではなく、互いに競い、応答し、対話するという、18世紀後半の室内楽における重要な発想を示しています。第2番ト長調では、四声部の駆け引きそのものが音楽の推進力となっています。
そして最後に1841年生まれのドヴォルジャーク《弦楽四重奏曲第1番》作品2、彼がまだ20代前半だった時期の力作です。後年の《アメリカ》のような「ドヴォルジャークらしさ」を知っている耳で聴くと、その萌芽を探したくなりますが、むしろ面白いのは、彼がまだ「民族的作曲家」になる以前、シューベルト、シューマンなどの偉大な前世代に向き合っていた姿です。それにしても青年ドヴォルジャークの才能の豊かさ!ブラームスが強く魅了されたのもよく分かります。
こうして並べてみると、この3曲は単純な「チェコ音楽史」ではありません。
ボヘミアに生まれた音楽家が、ウィーンやパリを経由しながら、ヨーロッパ共通の音楽語法を身につけ、それぞれの場所で新しい響きを生み出していく。その長い流れの中に、ドヴォルジャークの初期作品も位置づけることができます。
ボヘミアからヨーロッパへ。三人の作曲家と三つの四重奏曲。
知られざる作品だからこそ見えてくる、もうひとつの音楽史をお楽しみください。
このイベントに関するお問い合わせ先
メールアドレス:quartetto.oceano@gmail.com
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