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プログラム
ショパン:ノクターン ハ短調 作品48-1
ショパン:ノクターン 嬰ヘ短調 作品48-2
ショパン:舟歌 作品60
ショパン:幻想ポロネーズ 作品61
休憩(ショパンの故郷 ポーランド)
ショパン:バラード第1番 ト短調 作品23
ショパン:バラード第2番 ヘ長調 作品38
ショパン:バラード第3番 変イ長調 作品47
ショパン:バラード第4番 ヘ短調 作品52
出演者
東京学芸大学教育学部芸術文化課程音楽専攻卒業。同大学院修了。桐朋学園大学カレッジ・ディプロマ・コース ピアノ専攻修了。第6回ちば音楽コンクール優秀賞受賞。第27回ソレイユ音楽コンクール第1位、音楽現代新人賞受賞。これまで、ウィーン・ラズモフスキー弦楽四重奏団、諏訪交響楽団と共演。’13 ’15 ’18 にHakuju Hallにてソロリサイタルを開催。飯田陽子、勝谷壽子、上原興隆の各氏に師事。現在、信州豊南短期大学幼児教育学科専任講師、玉川大学芸術学部非常勤講師。ソレイユ音楽事務所所属アーティスト。千葉県君津市出身。
みどころ
佐藤雄紀ピアノリサイタル アーカイブ配信のページに足を運んで頂きありがとうございます。
この配信は5月16日にHakuju Hallにて行われたリサイタルのアーカイブ配信になります。
今回、様々な事情で足を運べない方もいらっしゃったと思うので、「アーカイブ配信コンサート」に初挑戦してみました。至らない点も多くあると思いますが、良かったら視聴してみて下さい✨
🔴このイベントページはシェアして頂けると大変有り難いのですが、購入したYouTubeのリンク先のページは「限定公開」になっておりますので、シェアしないようよろしくお願いします。
+プログラムノート+
ショパン 2つのノクターン 作品48
ショパンは生涯を通じてノクターンを書いていて、作品番号が付けられているものだけでも18曲ある。この2つのノクターンは1841年に作曲され、弟子のロール・デュペレ嬢に献呈された。
ノクターン ハ短調 作品48-1
レントながらも緊張感のある美しいメロディが朗々と歌うA、穏やかなコラールと徐々にオクターブで熱を帯びていくB、最初の主題を変容させた劇的なクライマックスのAの三部形式で作られている。オペラの影響を感じさせる書法、オーケストラを思わせる壮大な響きを持っているショパンの最も重要なノクターンの一つである
ノクターン 嬰ヘ短調 作品48-2
ABAの三部形式で作られており、吟遊詩人が奏でるリュートを思わせる左手の音型にのって、移ろいゆく感情が見事に表現されている。
ショパン 舟歌 嬰へ長調 作品60
舟歌(ヴェネツィアのゴンドラ漕ぎの歌に由来すると言われている)は1845-1846年にかけて作曲され、シュトックハウゼン男爵夫人に献呈された。ショパンの舟歌は、他の作曲家が作ったような抒情的な音楽というよりはむしろ、スケルツォやバラードと同種の疑似ソナタ形式による物語的な音楽であると言える。しかし、この舟歌が形式張って硬直した音楽に聴こえないのは、経過部分の巧みさにある。わずか数小節で聴き手の耳を捉え、音楽の雰囲気をがらりと変化させてしまう。全体を通して水のように淀みなく自然に流れ、発展し、あたかも抒情的に聞こえるのである。舟歌は、物語性と抒情性とを見事に融合させたショパンの最高傑作の一つと言えるであろう。
ショパン 幻想ポロネーズ 変イ長調 作品61
ショパンは生涯を通じてポロネーズ(ポーランドが起源の3拍子のやや男性的な性格の舞曲)を書いていて、生前に出版されたピアノ独奏曲の作品番号付きの作品は7曲ある。本日演奏する幻想ポロネーズの正しい曲名の表記は、「ポロネーズ=幻想曲」である。ショパンも作曲した当初から曲名を決めかねており、ポロネーズの舞曲性というよりもむしろ幻想曲として捉えた方がしっくりくると考えていたのではないだろうか。1845-1846年の18ヶ月もの時間を費やして完成したこの曲は、ヴェイレ夫人に献呈された。リストは、「この痛ましい幻影は芸術の域を超えている」「この曲の中に大胆で華麗な描写を探し求めても無駄である。もはやこの世には勝利を誇る騎士の高らかな足音は聞かれない。これらの調べに代わって、この曲はいたるところ突然の変動に傷つけられた深い憂愁や、急な驚きに乱された平安や、忍びやかな嘆きで彩られている」と評している。ショパンの死後にショパンについての論文を書く程、尊敬し、一目を置いていた大音楽家のリストでさえ、当時正確に理解することができないほど革新的な作品であったのだ。厳格な形式を持たず、あたかも即興演奏のように、多種多様な音楽的要素が現れ、次にどんな音楽が生み出されるのか予測することができない。だが、各部分は入念に結びつけられており、いつの間にか大きな音楽の渦に飲み込んでいく緻密で、自由で、壮大な作りは見事としか言いようがない。間違いなくこのポロネーズ=幻想曲は、ショパンの最高傑作の一つである。
ショパン バラード
バラードという曲名を初めてピアノ独奏曲に用いたのはショパンである。ショパンのバラードは音楽における英雄叙事詩とも言え、形式には型がなく、夢みるような美しい楽想から、激情的な終焉へと向かう劇的な性格を持っている。生涯を通じて作曲された4曲のバラードは、そのどれもが重要な作品として高い評価を得ている。
バラード 第1番 ト短調 作品23
第1番は、1835年頃に作曲され、シュトックハウゼン男爵に献呈された。構造としてはソナタ形式を基にしており、ショパンが得意とする変奏が重要な役割を担っている。ワルツ、舟歌などポピュラーな曲種に絡めた主題をソナタ形式の中で見事に扱い、楽曲の美しさ、気高さを更に高めることに成功している。圧倒的なコーダで、この楽曲の幕を閉じる。
バラード 第2番 ヘ長調 作品38
第2番は、1839年に作曲され、ロベルト・シューマンに献呈された。シチリアーノのリズムによるAndantinoと、激情的な16分音符の分散和音によるPresto con fuocoによって構成されている。大ピアニストのアントン・ルビンシテインはこの曲を「花とあらし」に例えたという。しかし、その「花とあらし」それぞれの部分から、もう一方断片が聴こえてくる。実はこの二つは対立しているのではなく、表裏一体なのである。一見シンプルに見える楽曲構造も、ショパンの入念な検討の末に構成されたものであることが読み取れる。
バラード 第3番 変イ長調 作品47
第3番は1841年に作曲され、ポリーヌ・ドゥ・ノアイユ嬢に献呈された。ショパンが愛読したポーランドの詩人アダム・ミツキェヴィチの詩に基づいて作られたとされているが、どの詩に該当するかについては諸説(「シフィテジャンカ」あるいは「シフィテシ」との関連性が指摘されているが、詩との関連性自体に否定的な見解も)ある。ショパンが試みたのは、詩の持つ雰囲気、色彩、理念などを音楽として表現することであり、標題音楽のように曲と詩の間に具体的な関連性があるわけではない。ただ、「水の精」とショパンが弟子に話したということは、この作品を理解する際に大いに役立つだろう。
バラード 第4番 ヘ短調 作品52
1842-1843年にかけて作曲され、ロスチャイルド男爵夫人に献呈された。このバラードがこれほど豊かで複雑なのは、ソナタ形式と変奏曲を独自の方法で融合させた点にある。著名なピアニストで教育者のアルフレッド・コルトーはこのバラードを「様式化された即興演奏」と評した。悲哀に満ちたメロディが見事に展開されていく。バラード第4番は、ショパンの楽曲の中ではもちろんのこと、19世紀ピアノ音楽全体から見ても最も重要な作品の一つと言える。
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