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プログラム
1. 天台声明
「散華対揚法要式(さんげたいようほうようしき)」
唄(ばい)・散華(さんげ)・梵音(ぼんのん)・錫(しゃく)杖(じょう)の四箇曲を用いて行われる顕(けん)教(ぎょう)立の法要を「四箇(しか)法要(ほうよう)」といい、天平勝宝4(752)年の東大寺大仏開眼供養の四箇法要が、日本における声明曲および法要形式の最古の記録とされ、平安期には舞楽付四箇法要として常用されていました。この四箇法要を密教(みっきょう)立で構成したものを天台宗では「散華対揚法要」と呼び、声明は四智梵語讃(しちぼんごのさん)・四智漢語讃(しちかんごのさん)・云(うん)何(が)唄(ばい)・散華(さんげ)・対揚(たいよう)・五(ご)大願(だいがん)などが用いられます。
本日の公演では上記の声明曲から四智漢語讃を省略し、特別に諸天漢語讃(しょてんかんごのさん)・般若心経(はんにゃしんぎょう)・後(ご)唄(ばい)を加えた、天台声明のエッセンスを感じられる内容でお届けいたします。(天台聲明七聲會)
2. ネイティブ・アメリカンの儀礼歌による
「夜の歌」(藤枝 守:作曲+構成)
国立劇場の委嘱作品《夜の歌》は、一九九三年の初演のあと、金沢21世紀美術館、スパイラルホール、静岡音楽館AOIホールなどで、それぞれ異なる演出で上演されてきた。今回は、能舞台という霊的な場で声明とガムランが響き合うというあらたな演出が試みられている。
ナバホ族の創世神話による儀式歌のコトバとともに、儀礼のなかで描かれる「砂絵」がもつ構造的な側面がこの作品では重要な意味をもっている。つまり、「砂絵」が内包する方位の意味や場の秩序、シンメトリーな配置に基づきながら、能舞台の四方に座る四人の声明の「声」がたえず能舞台にエネルギーを送りこむ。そして、能舞台を四回ほど回る「吹物」としての笙は、「風(息)の化身」となり、その笙の響きに導かれて「打物」としての一対のガムラン、「弾物」としての箏、そして最後には、「朗唱〜呪文」としての五番目の声明が能舞台に導かれて所定の場所に座ることによって、能舞台のうえに砂絵が完成する。
このような砂絵にもとづく重層化したプロセスのなかで次第に治癒のエネルギーが高められていく。そして、そのエネルギーを授かる「人間」に見立てられた浅野瑞穂が演じる「舞」が静かに能舞台を後にしていく。(藤枝 守)
出演者
[声明] 天台聲明七聲會
[ガムラン] パラグナ hakata
[舞] 浅野 瑞穂
[箏] マクイーン時田 深山
[笙] 渡辺 融
【出演者プロフィール】
[声明] 天台聲明七聲會
Tendai Shomyo Shitiseikai
玉田法信、杉山幸雄、室生述成、末廣正栄、御園生亮澄
九世紀半ばに慈(じ)覚(かく)大師(だいし)円仁(えんにん)により請来(しょうらい)された天台聲明は、古くは梵(ぼん)唄(ばい)ともいわれ、仏教儀式を執行する際に唱えられる声楽曲として相伝されてきた伝統的宗教音楽であり、梵讃(ぼんさん)・漢讃(かんさん)・和讃(わさん)・講式(こうしき)・伽陀(かだ)・誦(ず)経(きょう)・念仏(ねんぶつ)・祭文(さいもん)・表白(ひょうびゃく)・論(ろん)義(ぎ)などに分類され、緻密な音楽理論と各種旋律型の組み合わせにより唱えられる、日本の伝統音楽の原点である。
その古典伝統法儀である天台聲明の研鑽(けんさん)・敷衍(ふえん)を目的に発足した「七聲會」の会名は、声明楽理の五音七声十二律に基づいている。国立劇場の声明公演などで、天台宗総本山比叡山延暦寺法儀音律研究部に出演協力するなど、古典声明を伝承・紹介するのみならず、宗派を超えて結成された「声明の会・千年の聲(こえ)」として、声明と現代音楽の融合作品についても積極的な協力活動を行い、国内外での公演や音楽大学などでのレクチャー講演ほか、幅広く活動を展開している。
[ガムラン] パラグナ hakata
Paraguna hakata
小谷竜一、小林賢直、村上圭子、森重行敏
1985年インドネシア・スンダ(西ジャワ)音楽のグループとして結成された「パラグナ・
グループ」は、東京を拠点にガムラン・ドゥグン、トゥンバン・スンダの演奏活動を行っている。その「パラグナ・グループ」のメンバーが母体となり、福岡のガムラン演奏家と共に「パラグナhakata」が結成された。古典曲の他、ルー・ハリソンや藤枝守作曲の現代作品も精力的に演奏し、幅広い活動を展開している。2021年には、「リスニング・ミュージカム~博物館が聴く」(九州大学博物館)、「ガムランの午後」(福岡アジア美術館アートカフェ)に出演。
[舞] 浅野 瑞穂
Mizuho Asano
中国古典・民族舞踊を学び、北京公演等で活躍。その後、日本の古典・民俗芸能と出会い、法則・音魂・形魂を学ぶ。オリジナルスタイルの舞『瑞穂舞』は、天界を舞うような美しいスタイルから「天女の舞」と呼ばれ、伊勢神宮・出雲大社をはじめ日本全国の神社仏閣に舞を奉納するとともに、海外公演等数々の舞台公演を行う。2003年に「浅野瑞穂舞踊研究所スタジオ」を開設。九州では、宗像大社、香椎宮、筥崎宮、志賀海神社、高千穂神社、霧島神宮、幣立神宮等に奉納している。
[箏] マクイーン時田 深山
Miyama McQueen-Tokita
即興、 現代音楽、 オリジナル曲を中心に活動。 オーストラリア出身。 伝統に基づきながら現代人が面白い、 聴きたいと思える独自の音楽を目指す。 ソロに加え様々な編成で活動し、 自然体で豊かな表現が定評を得ている。東京ジャズフェスティバル、 ドイツの Moers Festival 等に出演し、バンクーバー交響楽団、 Australian Art Orchestra、 日本フィルハーモニー交響楽団等と共演。 2019年に Asian Cultural Council のグランティとしてニューヨークに滞在し、 現代音楽、 実験音楽、 即興音楽に携わる。 2020年に欧、 米、 豪、 日本の作曲家の作品を収録したソロアルバムをリリース。小田村さつき、 沢井一恵に師事。
[笙] 渡辺 融
Toru Watanabe
「社会福祉法人 明日へ向かって」の音楽活動ディレクター。九州大学大学院芸術工学府修士課程修了。在学中、古代の土笛と創作楽器の研究を行う。2014年よりインドネシアの打楽器であるガムランを同法人に導入。2016年、ガムラングループ「Go On」を結成し、障がいがある利用者の方と共に表現やコミュニケーションの可能性を見い出しながら、音楽活動を行っている。香椎宮雅楽保存会に所属。2015年藤枝守による現代神楽「甕の音なひ」、2018年シアター作品「冬至にうたう阿知女作法」、2023年現代神楽「玉垂」に出演。
みどころ
「オホホホ へへへ ヘイヤ ヘイヤ」と繰り返して唱えてみる。すると、その声の響きのなかに自らの呼吸を感じることができる。このコトバは、「夜の歌」というネイティブ・アメリカンのナバホ族による儀礼のなかで唱えられる呪文を書き記したもの。この意味がないコトバは、治癒するためにシャーマンによって唱えられる。そのとき、砂絵(Iikaah)も合わせて描かれていくが、儀礼が終わるとその砂絵も壊されるという。
このナバホの儀礼歌によるシアター作品『夜の歌』では、森本能舞台が砂絵の現場となり、まず、円環的に舞台を回る笙が響きの結界を張る。そして、声明の五人の声とガムランの響きとが混じり合うなかで、箏や舞が砂絵の図像となって展開していく。また、本公演では、『夜の歌』に先立ち、伸びやかな天台声明が唱える「散華対揚法要式」によって能舞台が清められる。
森本能舞台に程近い小烏神社は、八咫烏(やたがらす)を御祭神としている。また、ネイティブ・アメリカンでもワタリガラス(Raven)が重要な守り神となっている。この二つのカミの化身が繋がり合うなかで、能舞台をふるわせるさまざまな声や響き、それに舞のエネルギーが一体となってネイティブ・アメリカンの神話的な世界が出現する。
お問い合わせ先
その他のお問い合わせ先:イエナコーヒー (11:00-21:00)
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