まちを丸ごと会場に、3年で6.5万人からのべ16万人へ。急拡大する東京建築祭を支えた、teketの「人肌感」
2024年に初開催された「東京建築祭」。普段は入れない名建築を一斉公開し、まちを歩きながら建築を体験するこのイベントは、初年度はのべ6.5万人、2025年には11万人へ。そして2026年は渋谷エリアへ初進出し、各国大使館や大学キャンパスも加わって、東京を東西に横断するのべ16万人規模へと拡大した。
運営を担うのは、わずか4人の事務局だ。抽選制・有料・要申込という複雑な仕組みを、まちを丸ごと会場にしながらどう回してきたのか。チケット運営に3年間伴走してきたteketの活用について、東京建築祭 事務局の大久保さん、大島さんに聞いた。
©東京建築祭
人物紹介
東京建築祭事務局長。2024年の東京建築祭の立ち上げから、全体統括、企画・運営体制の構築、関係者との連携を担う。建築を通じてひととまちをつなぎ、東京の新たな建築の楽しみ方を広げている。
大島さん
東京建築祭事務局にて、全体運営管理をはじめ、業務改善や運営体制の構築、関係者との調整などを担当。建築を通じて、多様な人が関わり続けられる持続可能な運営の実現に取り組んでいる。
のべ16万人を、事務局4人で
©東京建築祭
——2026年の東京建築祭が終わりました。まずは、率直な感想を聞かせてください。
大島:今年はのべ16万人ほどの方に来ていただいていて、かなり大きくなってきたなという印象です。
大久保:エリアも、上野から品川、そして今年は渋谷まで広がってきました。ありがたいことに、毎年およそ半数が新規の来場者なんです。広告は全く出していなくて、プレスリリースを3回ほど出すのと、あとは主にSNSでの発信だけ。それでもこれだけの方に来場いただいているので、とても嬉しいですね。
——今年は各国の大使館や大学キャンパスも加わりました。参加者に変化はありましたか。
大島:20代の方がかなり増えたと感じています。
大久保:3年目を迎え、理念を含めた東京建築祭の活動が、社会に浸透してきたのかな、と感じています。昨年も今年も、約半数が初めて参加された方でした。建築を見るのは好きだけど詳しくない、という方が気軽に参加してくださっています。広い会場や順番待ちのシステムなど、混雑が緩和された成果でしょうか、お子様連れで見学される方をこれまでより多く見かけました。
——そもそも、東京建築祭とはどんなイベントなのでしょう。
大久保:私たちは「建築体験イベント」と呼んでいます。掲げている理念は「建築からひとを感じる、まちを知る」。建築を知ることをゴールにするのではなく、建築を入り口にして、それをつくるひと、守り継いでいるひと、使っているひとという、建築やまちづくりに関わるいろんな方々の思いを感じてもらう。そうやって、自分がいつも住んで、働いて、遊びに来ている東京というまちの魅力を、あらためて発見してほしいんです。
文化財級の建物も、小さな商店も、工夫を凝らしたリノベーションも、まだ竣工前の未来の建築も、様式も時代も問わず紹介しています。建築を見学できる催しは、専門家向けのものは割とあるんですが、一般の方が気後れなく参加できるものはほとんどありませんでした。だからこそ、私たちは「一般と専門をつなぐ」役割も担っていると思っています。
なぜteketを選んだのか
——teketを使い始めたきっかけを教えてください。
大久保:京都モダン建築祭で使用していることがきっかけです。
大久保:東京建築祭の事務局を運営をしている合同会社まいまいでは、先駆けて京都・神戸の建築祭事務局を運営していて、東京は社内で3つ目の建築祭事務局なんです。3建築祭で運営に関わる情報共有もしています。東京のチケットサービスを検討していた時に、京都の事務局の皆さんが既に調べた結果を共有してくれて、「抽選ができて、使いやすいチケットサービスはteketくらいだ」と。当時、私はほぼ一人で東京建築祭の準備事務局をやっていて、自分で調べる時間もあまりなかったので、京都モダン建築祭と同じサービスを使おうと決めました。
——決め手はどこにあったのでしょう。
大久保:まず、抽選機能があること。ガイドツアーは先着順にすると、気づいた時にはもう全部埋まっている、知っている人だけが得をする形になってしまいます。だから抽選は必須でした。
もう一つは、クレジットカードでの事前決済ができること。現場でお金のやり取りを避けたかったので、クレジットでの決済方法は不可欠、と。そういった条件を絞っていくと、teketになりました。
——電子チケット化に不安はありませんでしたか。
大久保:そもそもイベントづくり自体が初体験だったので、チケット以外も含めて、全てが漠然と全部が不安でした(笑)。ただ、アナログなやり方で運営できるマンパワーもない。だからこそ、できるだけ手元で完結するものでないと回らない、という前提がありました。
要望が、teketを動かした
——teketを初めて使ってみた当初の感想を教えてください。
大久保:当初から使いやすかったです。ただ、初年度は、申し込みのキャンセルができなかったんですね。参加者さんが一度申し込んだツアーを抽選前に変更をしたいと思ってもできませんでした。参加者さんからの問い合わせの内容もほとんどその件で、私からもteketさんに「どうにかしてください」と何度もメールを送っていました。
最終的に、京都・東京・神戸の三つの建築祭をまとめて、要望リストを出しました。そうしたら、teketさんがどんどん希望を聞いて、システム改修をしてくれてキャンセルもできるようになりました。
抽選機能を使用する主催者はそう多くないと思いますが、そこに労力をかけて改善してくれるネットサービスがあるのかと驚きました。
——自社でチケットサイトを作る構想もあったと伺いました。
大久保:そうなんです。使い勝手を良くしようとすると自前で持つしかないかな、ということでカスタマイズしやすいECシステムを使って、三つの建築祭で共通のチケットサイトを作ろうという話がありました。でも、teketさんがここまで動いてくれるなら、自前で持つよりいいんじゃないか、と。チケットはteketさんにお願いして、そこへの動線を建築祭側で構築する形にすれば、こちらでエンジニアを抱えなくて済むということもあり、teketさんに決めました。
teketさんは、いつも「人」が見えるやり取りをしてくれます。普通のネットサービスの域を超えた、柔軟さというか「人肌感」を感じています。
——大島さんは運営の現場から、teketをどう見られていますか?
大島:とても便利に使わせていただいています。東京建築祭は、入場に関する手続きをボランティアスタッフさんに担当してもらっていますが、チケットの手続きに関する詳細なマニュアルは特に用意していません。参加者さんが見せてくれる画面をスライドしてチェックすればOK、という程度のマニュアルです。
ITツールに慣れていないようなスタッフでも使いやすくて、説明がほとんど要らないというのは、規模が大きくなるほど効いてきています。
応援コメントが開いた、参加者との「事前の対話」
©東京建築祭
——今年は「応援コメント」機能を使われたそうですね。
大島:反応がすごく良くて驚いています。参加者さんの声って、これまではイベントを実施した後のアンケートでしか届かなかったんです。でもガイドさんや建築の担い手の方たちは、当日まで「自分は何を喋ればいいのか」「そもそも人が来るのか」って、すごく不安なんですね。ガイドさんや担い手さんたちにも、応援コメントを通して参加者さんの熱量を事前に届けられるようになったことも良かったです。
——具体的には、どんな反応があったのでしょうか。
大島:たとえばメキシコ大使館は応募がすごく多かったんですが、「ここで応援コメントが見られますよ」と事前にお伝えしたら、「こんなに自分たちに興味を持ってくれている人がいるとは思わなかった」と喜んでくれて。抽選後だと、当選した30人分の声しか届きません。でも応援コメントなら、抽選前の多くの方々の期待の声が届きます。ガイドさんと参加者さんのコミュニケーションの場として機能しているので、今後も活用していきたいと思います。
——最後に、これからteketに期待することを教えてください。
大久保:teketは、情報の登録をしてしまえば後はそんなに手間がかかりません。いちばん重いのは、登録するまでの「情報を揃える」ところ。建築の皆さんとやり取りしてプログラムを組み、説明文やツアータイトル、日時、写真を、間違いのないように用意していく。ここが、企画数が増えるほど大変になります。
アンケートを一つずつ設定したり、写真を登録したりの作業は、ひとつひとつはボトルネックとまではいかないけれど、企画が増えるとかなりの手間になります。ですので、アンケートをテンプレートとして設定できたり、写真ごと一括で複製できたりすると、すごくありがたいですね。
——次回開催までにご満足いただけるアップデートをがんばります。本日は、貴重なお話をありがとうございました。
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